脱毛と育毛と生理現象[編集] 育毛剤 様々な育毛剤が市販されているが、科学的な臨床実験によりに実用にかなう発毛作用が確認されている薬品は以下の2種類のみである。 脱毛 ミノキシジル(商品名ロゲイン、リアップ) 頭皮にふりかける外用薬である。もともとは高血圧の治療薬として開発された薬で、血管拡張作用によって発毛を促すといわれているが、メカニズムには不明な点が多い。頭頂部の毛を増やす効果があり、前頭部や生え際への効果は薄い。頭髪だけでなく、全身の毛を増やす作用がある。 フィナステリド(商品名プロペシア) 内服薬である。頭皮における男性ホルモンの作用を抑制し、脱毛を防止するとともに発毛を促す。 脱毛 アメリカの製薬会社メルク社が開発した。日本でも、メルク社の100%子会社である万有製薬が2005年10月11日に厚生労働省の承認を受け、自由診療(保険外診療)として医師の処方箋に基づいて使用できるようになった。臨床試験では、3年で98%(以上)の人に対して脱毛を食い止める効果があったという。 しかしこれらの薬品も効果があるかどうかは体質次第であり、人によっては一層脱毛が進むこともある。また効果があったとしても使用を続けなければ元に戻ってしまうため、育毛の解決手段とは言い難い。 育毛剤 [編集] 外科的手法 美容外科手術の一種で、植毛手術と呼ばれているものである。 [編集] 人工毛移植手術 頭皮に人工毛を挿入する美容外科手術である。自毛移植手術と異なり、移植本数に制限がなく、全禿げでも施術可能という利点はあるが、人体に異物を挿入する手術であるため、免疫拒絶反応により頭皮が炎症を起こすことがある。 また、当然ながら人工毛は成長せず、生えかわることもないので、抜け落ちてしまえば再手術が必要である。 育毛 [編集] 自毛移植手術 自分自身の毛髪を脱毛箇所に移植する美容外科手術である。自分自身の組織を移植するため、免疫拒絶反応が起こらない安全性の高い手術である。また本物の生きた毛髪であるため、日々成長し続け、抜けてもまた生えかわり、一度手術をした後はメンテナンスは不要である。 男性型脱毛症では、脱毛を起こすのは頭頂部と前頭部であり、後頭部の毛髪は生涯脱毛を起こすことはない。この毛根の性質は遺伝子的に決まっているものであるため、人体の他の場所に移植しても変わることがなく、毛を生やし続ける。このような皮膚の特性は奥田庄二医師が1939年に発見した。この性質を利用して、後頭部の毛髪を、毛根と周囲の皮膚ごと脱毛箇所に移植すると、移植した毛髪は生涯毛を生やし続ける。これが自毛移植手術である。 このような手術は米国では1970年代から広く実施されてきた。しかし初期の移植技術では、髪と皮膚の色の違いが大きい黄色人種に施術すると移植した毛が不自然に見えてしまったため、自毛移植手術の原理を発見したのが日本人であるにもかかわらず、日本ではほとんど実施されることがなかった。 しかし近年、移植元となる毛髪がある皮膚(ドナー)を毛髪2〜3本ごとの小片(グラフト)に株分けして、禿げている箇所に分散配置するマイクログラフト法が開発された。この方法では、ドナーの皮膚で脱毛箇所を置き換えるというよりも、グラフトの毛髪を成長させて脱毛箇所を覆い隠すという考え方になる。さらに数千本の毛髪を一度の手術で移植するメガセッションが可能になったことで十分な密度を得ることができるようになり、黄色人種への施術ができるようになった。日本でも、米国で高い評価を受けているNHTクリニックの技術を導入した紀尾井町クリニックが1998年に東京で開業して以来、自毛移植手術が徐々に広まってきている。 現在の医学では、自毛移植手術が脱毛症の最終的解決手段と考えられるが、以下のような問題点がある。 費用が高額 移植毛の株分けや、移植箇所への植え込みには、特別な訓練を積んだ医師と看護師のチームが必要であり、人件費からして高額にならざるを得ない。また病気の治療ではないため健康保険は適用されず、全額自己負担の自由診療になる。しかし一旦手術をすれはそれ以降の出費は一切ないため、長期的に見るとかつらや増毛よりも割安であると言われている。 頭皮に傷がつく 移植元の頭皮はドナーを切除した後に縫合し、移植先の頭皮には器具で穴をあけてグラフトを挿入する。つまり刃物で頭皮を傷つけるので、ドナーを切除した箇所は線状痕に、グラフトを挿入した箇所は凸凹になる。手術技術が向上したため、見た目にもわかるほどの傷や凸凹ができることはなくなったが、触れば判る程度の凸凹ができることは避けられない。このため、頭垢がたまりやすくなる、スキンヘッドにはできなくなる、といった問題がある。 手術可能な毛髪量が限られる ドナーを切除した箇所は縫合するため、ドナーを取りすぎると頭皮が突っ張ってしまう。ドナーにできる毛髪量は体質によって異なるが、生涯で約1万2千本と言われている。 全禿げ(丸禿げ)や、禿が非常に広い場合には適用できない なお、費用以外の問題は、幹細胞培養による毛髪のクローニングが実用化されれば解決されると言われている。 [編集] 関連項目 脱毛 男性型脱毛症 脱毛の治療 ロゲイン リアップ プロペシア かつら 男性型脱毛症(AGA, androgenetic alopecia, androgenic alopecia, alopecia androgenitica)は、主に男性に見られる脱毛の状態である。男性の場合、この状態を「male-pattern baldness」とも呼ぶ。 (訳注:「andorogenetic alopecia」は字義通りに訳せば「男性ホルモン型脱毛症」となる。「男性型脱毛症」という訳はむしろ「male-pattern baldness」に近いが、本邦での通例としてこの訳を用いた) AGAの典型的な経過では脱毛はこめかみの上から始まり、生え際の後退により特徴的な「M字」パターンとなる。また、頭頂部の毛髪は細くなり、薄毛や禿髪となる。 女性の場合には「女性男性型脱毛症」(Female AGA, FAGA)と呼ばれる。男性のパターンとは異なり生え際のラインは変わらずに頭部全体の毛髪が細くなる。完全な禿髪になることは稀である。 AGAには遺伝的、環境的な種々の要素が関わっている。多くの研究者がAGAのリスクとなる要素を研究しているが、その多くはいまだ不明である。リスクの一つとして特定されたものに男性ホルモン、特にジヒドロテストステロン(dihydrotestosterone, DHT)がある。男性ホルモンは胎児期と思春期の男性生殖器の発達に重要であり、また男女ともに毛髪の成長と性欲に重要な働きを持つ。 目次 [非表示] 1 脱毛と遺伝子 2 AGAに関連したホルモンのレベル 3 脱毛と生活習慣 4 治療 5 AGAチェック 6 参考文献 7 関連項目 8 AGAについて[外部リンク] [編集] 脱毛と遺伝子 研究者は両親から受け継いだ種々の遺伝子がAGAに関与していると考えている。男性ホルモン受容体遺伝子(androgen receptor gene, AR gene)の遺伝的多型は脱毛に関連している。この遺伝子はX染色体上にあるため母方の祖父や祖母から遺伝するが、父方の脱毛が息子の脱毛に関連することも知られている。 男性ホルモン受容体(androgen receptor, AR)はDHTや他の男性ホルモンに反応する。ARには遺伝的多型があり、毛包での男性ホルモン受容体の活性が異なる。詳細は未だ解明されていないが、こうした遺伝的多型が男女のAGAにおける脱毛リスクに関係していると思われる。 AGAには多くの遺伝的、環境的な因子が関与しており、遺伝形式は不明である。家族性に現れる傾向があるが、脱毛は生活環境にも強く依存している。 [編集] AGAに関連したホルモンのレベル 男性ホルモンにはテストステロン、ジヒドロテストステロン、デヒドロエピアンドロステロン、アンドロステロン、アンドロステンジオンなどがある。一般的にAGA男性は総テストステロンレベルは低く、遊離テストステロンレベルは高い。また、DHTを含む遊離男性ホルモンレベルは高い。[1][2] 5αリダクターゼ(5-alpha-reductase)は遊離テストステロンをDHTへと変換する酵素であり、主に頭皮と前立腺に存在する。遺伝子は解析されている。[3] 5αリダクターゼの活性は頭皮のDHTレベルを決定する要素となる。また、FDAによって脱毛症の治療薬として認可されている5αリダクターゼの阻害薬(フィナステリドのような、主にタイプ2サブタイプを阻害するもの)の使用量を決める目安にもなる。 性ホルモン結合グロブリン(sex hormone binding globulin, SHBG)はテストステロンと結合してその活性を抑え、DHTへの変換を抑制する。DHTレベルが高い人は一般的にSHBGレベルは低い。SHBGはインスリンにより下方制御(downregulate)される。 インスリン様成長因子1(insulin-like growth factor-1, IGF-1)の上昇は頭頂部の脱毛に関連している。[4] インスリンレベルが高いことはメタボリックシンドロームや脱毛に関連しているといわれている。男性や妊娠していない女性ではSHBGレベルが低いことと耐糖能や糖尿病のリスクとに関連があるといわれている。ただし、女性の場合妊娠するとこの関連はなくなる。 [5] [編集] 脱毛と生活習慣 遺伝的な要素はAGAの発症や進行に大きく関わっているが、生活習慣もまた大きな要素となる。日本で第二次世界大戦後に男性型脱毛症が激増したことが一つの例として挙げられる。 毎日十分な有酸素運動を行なうと(筋肉量の増加を目的として男性ホルモンレベルを高めるようデザインされた、短時間の不定期な運動に比べて)インスリンのベースラインは低くなる。また、総テストステロンレベルや遊離テストステロンレベルもベースラインが低くなり、DHTのベースラインも大きく下がる。[6]これらの点から、ウエイトトレーニングはテストステロンレベルを上げ、毛髪に有害な影響を与えると推察されるが、ウエイトトレーニングにより遊離テストステロンレベルが下がったという研究も(少なくとも一つ)存在する。.[ |